編集長のひとりごと

“まぐれ”と“奇跡”。

中体連夏季大会もほとんどの競技で予選が終わり、本誌が発行される頃には県大会が始まっている。例年、猛暑の中行われていた大会だが、今年は曇天もしくは雨天の中で開催されることが多く、夏季大会というよりも梅雨大会と言ったほうが相応しいと思えるような天候が続いた。これもひとつの思い出として心の中にそっと仕舞っておいてほしい。

大会はというと、強豪が順当に勝ち上がった競技もあれば、あっと驚くようなチームが勝ち上がった競技もあり、今年も興味深い結果となった。嬉し涙を流した子もいれば、悔し涙に暮れた子もいただろうが、ともにいずれ素敵な思い出となる。これもそっと心の中に仕舞ってほしい。

息子の時は二回戦からの登場だった。対戦相手は一回戦で快勝し波に乗るチーム。相手ベンチや応戦席はすでに臨戦態勢。一方のこっちは、練習試合で勝ったことがあるせいか非常に楽観ムード。応援席では翌日組まれた中部地区の強豪との練習試合の出欠を取り、ベンチは和やかな笑顔が溢れていた。目の前で起こるその光景を見て、恐ろしく不安になった。相手チームには学童野球の県大会で惨敗したチームの子たちがずらりと並ぶ。周りの評判はこっちが上だったが、個人的には個々の能力で劣っていると思っていた。だからこそ試合前のこの雰囲気が怖かった。試合が始まるとその予感が的中。相手の闘争心剥き出しの声に圧倒され萎縮する選手たち。どう見てもいつもとは違う。試合は緊迫した投手戦で進むが流れは明らかに相手。チャレンジャーとして挑んでくる相手に対応できないまま終盤に失点を重ね、負けた。最後の大会という雰囲気もないまま、敗れた。敗戦後、親子共々涙に暮れたが、敗戦の理由を考える者はいなかった。今思えば、少し立ち止まって考えるべきだった。普段の取り組み方、考え方などを一度整理するべきだった。彼らの人生はここで終わりではない。まだ先がある。大きな節目となる大会での敗戦の時しか気付かないことがきっとある。そうすることで高校入学後の取り組みに大きな差がでるように思う。一方でその相手はさらに勢いを増し、第一シードも倒すと決勝戦まで進んだ。

ジャイアントキリングを起こしたチームを見ると、ほとんどが“まぐれ”ではないことがわかる。冬から春にかけてコツコツと地力を積み上げ、最後の大会で“奇跡”を起こした。まぐれはただの時の運。奇跡は努力を積み重ね、チャレンジ精神を身に付けた者にだけ訪れる必然の出来事。「やらされている」間は奇跡は起きない。「自らがやる」からこそ奇跡は起きるのだ。

この夏、奇跡を起こしたみんなはどう思っているだろうか。「いやいや、やらされてたよ」と言うかもしれないが、頭の中や取り組み方はきっと「自らがやっていた」はずだ。今回の成功体験を忘れずに、今後も目標に向けての努力を怠らずチャレンジャーとして挑んでほしい。

残念ながら負けてしまったチームはすでに多くの三年生は引退しているだろう。中学部活動の最後の大会。ぜひ負けてしまった理由を考えてみてほしい。「調子が悪かった」で済ませるのは簡単だが、これまでの取り組みや心の在り方を振り返ることできっと何かが見えてくる。それを高校で、そしてその先の人生に活かしてほしい。考え方ひとつで人は大きく変われる。

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