編集長のひとりごと

変わるための
 唯一の道。

新チームになって初の公式戦となる新人戦が終わった。地区予選で敗れて失望したチームもあるだろうし、県大会出場が決まり歓喜に溢れたチームもあるだろう。

当時の事、と言っても息子の時のことだが、間違いなく失望したクチだ。

中学の野球部に入り、最初に迎えた公式戦は『1年生大会』だった。
支部のチームとトーナメントで戦うのだが、2位に入ると、『新人戦』でシード校になれるという特典が付いた大会だった。

その大会で“背番号1”を背負い、マウンドに上がったのは息子だった。

そもそも背番号をもらって来た時、家中がざわついた。

小学生の時もピッチャーをやっていたとはいえ、大エースがいての控えピッチャー。主とするポジションはファースト。キャプテンだったこともあるが、付けていた背番号は10だった。

中学でも、この背番号を付けてくれたら御の字。目指すは10だった。

それがもらってきたのはその10分の1となる1。ガリガリで背も低く、誰よりも遅いボールを投げ、コントロールも大して良くないのに1を渡された。内心は、嬉しいどころかただただ不安。

目一杯不安が膨らんだ所で試合を迎えた。

勝てば新人戦のシードが決まる準決勝。
先発のマウンドに上がった。

フォアボールでランナーを出すが、相手の拙攻にも助けられ、まさかの完封勝利。

新人戦のシードが決まった。

ダブルヘッダーで行われる決勝戦を前に、監督が話しかけてきてこう言った。
「彼のボールは魅力的なんです」と。

遅くて制球もよくないあのボールが魅力的とは…。
見る人によって全く評価は変わるものだと、この時知った。

春になると監督が変わったが、新人戦では1を渡された。

試合当日の朝、随分と具合が悪そうだったことが気になったのだが。

この日は監督から「四回まで頑張れ」と告げられていた。
剛腕が控えているため、賢明な指示だと思った。

会場には先輩たち、そしてその父兄も応援に来てくれた。この時、生涯で最も不安を感じていた。

試合は1点を先制したものの、1点を奪われ、1対1のまま4回を投げきった。

「良かった~」心の底から声が出た。

本人も笑顔でベンチへ戻る。
ちょうどここで打順が回ってくる。代打でお役御免。

そう思っていたのだが、まさかの続投。

良くもないが悪くもないピッチング。ピッチャーの代え時は難しいものだと、この時知った。

その後、制球難を皮切りにエラーで失点し敗戦。
帰宅し熱を測ると40度。こんな状態でよく投げたと思ったが、その試合を最後に、背番号は付け慣れた10に戻り、二度と1を付けることはなかった。

その後は練習に取り組んだが、今思えば普通の取り組みだった。
もっと工夫し、もっと変わることができたならば、きっとその後の結果は変わったのではないかと思う。

新人戦までよりも、新人戦後の方が明らかに長い。

これからの取り組みが今後の結果を大きく左右する。
ただ、やらされるのではなく、自らがやらなければ変わることなどはできない。

「思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから」

考えたことは口に出してみる。
それが変わるための唯一の道だと思っている。

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